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国土交通省は建設技術者の確保・育成に向け、若手を中心とした実態調査に乗り出す。2014年度予算概算要求に、調査・検討経費として1900万円を新規に盛り込んだ。予算が認められれば、まずアンケートを通じて、何歳でどのような資格を取り、どの立場で現場に入っているかなど、働き方の実態をつかむ。その上で、監理技術者になるために求められるキャリアパスのあり方などを探り、最終的に新規就業者の増加につながる入職促進策を打ち出したい考えだ。
技能労働者だけでなく、技術者の確保・育成も大きな課題になっている。建設業における24歳以下の入職者は、02年に11.9万人いたが、09年には5.2万人まで減った。就職後3年以内の離職率(09年3月卒業者)は高卒が43.7%、大卒が27.6%となっている。
監理技術者の高齢化も進んでいる。11年時点の資格者証保有者数を05年と比較すると、30歳未満が57%減少した一方、60歳以上は75%増加している。技術検定試験の受検者・合格者数も減少傾向にある。
このような中、優秀な若手技術者が定着する環境を整えるため、国交省は14年度から詳細な実態把握に着手することにした。アンケートは20代の若手を中心に実施する方針で、主に地域の建設会社が対象になるとみられる。学生の声も集めたい考えだ。
実態を踏まえ、現行制度の課題解決策などを検討していく。現在、土木一式や建築一式などの指定7業種で「監理技術者」となるには、技術検定1級や技術士、1級建築士が必要で、それ以外の21業種では技術検定1級のほか、主任技術者資格者が元請けとして受注した4500万円以上の工事で、2年以上の指導監督的実務経験を有することが必要となっている。
しかし、機械器具設置や電気通信、消防施設などの業種では、対応する技術検定の種目自体が存在しないため、ハイレベルな技術士試験ではなく、実務経験により監理技術者資格を取得する割合が圧倒的に高い。また、一部業種からは、実務経験として認められる要件(元請け、4500万円以上)を満たす工事そのものが減少しているという指摘も出ている。
今後、監理技術者になるために求められるキャリアパスのあり方を議論していく中では、経験を積みにくい業種を把握した上で、金額要件の妥当性を始め、下請工事であっても専任の経験を一定程度評価するなど、多様な実務経験を認めるかが焦点になる。

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技能労働者一人ひとりの社会保険加入状況や資格、実績把握などに役立つと期待されている「就労履歴管理システム」の構築検討経費が、国土交通省の2014年度予算概算要求に盛り込まれたことが分かった。「建設産業の担い手の確保・育成の推進」で要求した8200万円の中に含まれている。社会保険加入状況等の『見える化』に関する調査の一環として、システムのスペックなどを検討したい考えだ。
国交省は13年度、公共工事設計労務単価を大幅に引き上げるとともに、現場最前線まで適切な賃金が行き渡るよう業界側に要請。日本建設業連合会は、元請けとの契約関係がなく直接指導するのが難しい2次下請け以下を含め、現場全体の正確な情報把握の切り札として、就労履歴管理システムの構築を同省に要望していた。これに応える形で、国交省は概算要求に調査委託費を計上した。
作業員一人ひとりにカードや番号などを配布し、就労履歴を登録・管理する制度は、工種ごとに短期間で働く人が多い建設業特有の雇用形態の中で、現場の入退場管理や社会保険加入状況の把握に活用が期待されている。
保有資格やこれまでの経験・実績を蓄積することで、優れた技能労働者の処遇改善にも生かせる。健康管理のほか、建設業退職金共済制度に基づく退職金の支払いが、確実に担保できるなどのメリットも考えられる。
ただ、必要なシステムや機器類を各社が保有するための費用がネックになっている。12年度には総務省の補助金を活用し、福島市の除染現場に作業員の被ばく線量を管理する就労履歴システムが導入され、今後のプロトタイプとして期待されていた。しかし、13年度に補助金が打ち切られ頓挫していた。
日建連は社会保険加入の促進を始め、技能労働者の環境改善にはシステム構築が欠かせないと考え、以前から開発に取り組んでいる「就労履歴登録機構」にも6月に入会している。

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