会社設立/合同会社

2006年5月1日から施行された新会社法によって、
有限会社の新設が廃止されることになり、
代わりに「合同会社(LLC)」という会社形態が
新設されることになりました。

合同会社(LLC)は有限会社に変わる存在となっております。

欧米ではLLC(=Limited Liability Company の略)と呼ばれ
経済の起爆剤となった会社制度なのです。

経済産業省がそれにあやかって欧米のLLCをそのまま直輸入しようとしたのですが、
財務省からの反対にあい若干の手直しをされた形で
日本では導入されることになりました。

日本版LLCは欧米版LLCのパススルー(構成員課税)が認められないなど
厳密には異なるものですが、創業促進のため非常に安価に会社を設立することができ、
組織運営も定款自治により「機関の自由設計」が可能な点など、
小回りが利くので起業しやすい会社組織と言えます。

何より、1人でも作れるコンパクトな会社で、資本金が1円でも良いのが特徴ですし、
設立費用が格安というのが最大のメリットです。

● LLP(有限責任事業組合)との比較

一足先に創設されたLLP(有限責任事業組合)と一見すると大変似ておりますが、
どこが違うの?とわかりやすく言えば、「組合」と「法人」の違いだという事です。

LLPは組合組織となりますので法人税が掛かりません。
対しまして合同会社(LLC)は株式会社と同様に法人税が課税されます、

LLPと比較してLLCは不利なの?とも思われますが、
LLPは契約ですのでプロジェクト等の、短期のイベント事業向けという側面があります。

また「存続期間」を設定しなければならず、
目的が終了すれば解散する。というものが基本的には、想定されております。

ですが、合同会社(LLC)は株式会社と同じ組織法(会社法)ですので
永続的な発展を念頭に置いておりますので、
その辺は、従来の有限会社と変わりありません。

● 「他の持分会社」との比較

新会社法のカテゴリーの中では、
合同会社(LLC)は「持分会社」に分類されております、
同じ持分会社としては、合名会社・合資会社が入っています。

「持分会社」の規定は非常にシンプルなもので、設立の規定にしても、
運営の規定にしても基本的には3組織は共通しています。
ですから、設立にしても、運営にしても、
伝統的な合名・合資会社などを参考にすればよいのです。

ですが、合同会社(LLC)の場合、責任の規定は修正されています。

従来の合名・合資会社の場合、
社員の規定には「無限責任」というものが登場してきますが、
合同会社(LLC)の場合には、それが社員の全員を株式会社と同じ
「有限責任」と修正されています。

これによって新たに起業するのに際しては、大きな安心できる材料といえるでしょう。

● 合同会社(LLC)設立の費用について

簡易な設立を政策的に促進する趣旨での創設されたものですから、
資本金などにも特に制限は設けられてはおりません。

資本金は1円からでもOKです。ほかに必要な費用として法定費用は、
登録免許税と印紙税が必要になります。
株式会社と比較して合同会社(LLC)の設立の場合、
公証人による定款認証が不要ですので、株式会社を設立しようとするときには
必要な法定費用、公証人手数料が5万2千円、定款印紙税が4万円、
占めて9万2千円を別の費用に使うことができます。

なお、登録免許税は資本金の額が858万円未満でしたら6万円で済みます。
定款印紙税も電子定款をご利用になれば、
株式会社、合同会社(LLC)ともに、不要とすることができます。

株式会社と比較してみると、非常に安価に設立することができます。

株式会社の法定費用 24.2万円
(9.2万+11万+4万)
合同会社(LLC)の
法定費用
10万円
(6万+4万)

※当事務所の電子定款認証ご利用の場合は、
定款印紙税4万円が不要ですので、さらに節約できます。

位置付け的には、今のところ有限会社の代替ですが、
新設された分だけ合理的な仕組みになっており、
有限会社より使い勝手についてはよいものと思われます。
なにより、経済産業省の創業支援策として肝いりで創設された制度ですので、
比較的、簡易で安価に設立するこができるようにできており、
使い勝手は従来のものより工夫されているわけです。
この合同会社(LLC)は、まだ始まったばかりなので、
評価するには時期尚早な会社組織ではありますが、今後の活用例が増えていけば、
社会的な評価は飛躍的に高まっていくものと思われます。

上記のLLCは「日本版LLC」の意味です。

表記中の「LLC」については、いわゆるLLCがあくまでも「日本版LLC」であるという理解があることが
前提としております。
正式な「LLC」は「Limited Liability Company」という米国においての法制度のことです。
米国のLLC法人で(LLC設立)を検索された方は、ご注意ください。
日本のLLCは、米国のものとは全く別物です。法的には、何の関係もありません。


※注意点
会社法の改正により、資本金は1円でも会社を設立することはできるようになりましたが、
例えば、会社の設立後、すぐに創業に必要な許認可を取得したいようなケースです。
このとき、許認可の要件の中には、会社の自己資本の額が500万円以上であることなど、
意外なところに許認可を受けるために必要な要件があったりします。

こういう場合、資本金の額を500万円以上で会社を設立しておけば、
この要件をクリアすることができるのです。

しかし、そういうことを全く考慮せずに、資本金の額を少ない額(1円など)で会社を設立してしまうと、
営業に必要な許認可の申請を行ったときに、
新たな資産を証明する書類が必要となったり、増資しなければならなかったなど、
無駄な出費が生じてしまう可能性がありますのでご注意ください。
許認可を取得することを前提として、会社を設立するときには、
許認可を取得するための可否の要件との関係で出資金の額を決定して
会社を設立することが肝要となります。
その他、業種によっては、お客様に信用を得るためには、
資本金の額はある程度は積んでおいた方が良いときなど、
資本金の額は業種・許認可の有無などによって、
資本金の額を決めることが必要なときもあります。
資本金は自由に決められるからと言って何も考えず、資本金の額を決定してしまうと、
会社の創立後に影響が出てしまうことがありますので、あなたが起業なさる会社には、
資本金の額をどのくらいが妥当な額であるのかを知りたい方は、
どうぞ、お気軽にご相談下さい。

設立する合同会社を自由に安易に設立してしまうと、
設立後に税金で損をしてしまったり、補助金が受けられなかったり、
許認可が受けられなかったり、法的なトラブルが起きてしまうことなども少なくはありません。
合同会社を設立する際には,専門家の意見を聞いていただくことを お勧めします。

当事務所では、合同会社の設立手続きを通じて
全面的にサポートさせていただきます。

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